熱力学で理解する化学反応のしくみ, 平山 令明

熱力学で理解する化学反応のしくみ―変化に潜む根本原理を知ろう, 平山 令明, ブルーバックス

昨日に引き続き熱力学についての本です。

感想

まず、エントロピーは場合の数と関係している! という考え方が、エントロピーというものの理解を助けてくれました。エントロピーって結局なんなんだろうという疑問を、一つの視点から一気に解決してくれたという意味で学ぶものは大きかったように思います。熱力学を説明するものではなく、化学反応を説明する本だからこそできたことでしょう。熱力学の入門書とは少し違った、より化学に応用しやすい切り口から熱力学について説明されていて、物理化学チックな考え方を知ることができました。

例えば「ギブズエネルギーが負なら、反応は右に進む」といった内容や、「ル・シャトリエの原理」について、筋道立てて解説してあったので、化学で教えられた式や現象の「意味」「理由」をようやく理解することができました。やっぱり意味がわからないのに、教えられた式にただ数値を代入するだけではあまり面白くないですよね。なんというか、わくわくが足りません。「これがこうなるから、この式とこの式をつなげて……おお! 本当だ! こんな式が導出できたぞ。それでこの式の意味は、この項とこの項の掛け算だから、なるほど、この現象はそうなっていたのか!」といったわくわくは、学びを楽しむために必要不可欠でしょう。

化学で教えられた「ギブズエネルギー」「エンタルピー」「エントロピー」……が一体何なのかわからなかった人にオススメしたい一冊です。